#42 ジャンプ力を向上させるために【測定の仕方とトレーニング】

指導者向け 選手・一般の方向け

ジャンプ力を上げたいと思っている選手やスポーツ愛好家の方は少なくないと思います。筆者もパーソナルトレーナーとして活動していますが、ジャンプ力を上げたいという目標があってお会いする方もいらっしゃいます。

バスケットボールやバレーボールなどのスポーツにおいては高く跳べるだけで有利になることが多くあります。また、ジャンプ力は下半身でパワーを発揮する基礎的な動作です。ジャンプ力はスプリント能力などと関係があり、ジャンプ力を向上することは他のパフォーマンスを向上することにも繋がると考えられます。

そこで今回はジャンプ力を上げたいと思われている方に向け、ジャンプ力を上げるために必要なことについて整理し、トレーニング方法についてご提案しようと思います。

1.ジャンプ力を向上するために

1−1.まずは計測してみましょう【おすすめのアプリ】

選手やスポーツ愛好家の方をとお話しする中で「ジャンプ高を測ったことがない」という方は意外と多いです。ジャンプ力を向上させようと思った時に自分が何センチ跳ぶことができるか、現状を把握することは重要です。従ってまずは計測してみましょう。

ジャンプ力は様々な方法で計測ができます(詳細についてはまた別の機会に記事を書きます)。今回は滞空時間からジャンプ高を測るアプリを紹介します。“jump eye”というアプリです。このアプリはとても便利で最近自分も選手のテスティングの際に利用しています。簡便にジャンプ高を計測できるにもかかわらず、無料です。今すぐインストールしましょう。app storeで“jump eye”と検索すると出てきます。

1-2.実際に計測してみる

アプリをダウンロードしたら実際に計測してみましょう。アプリを起動し”CAMERA”を選択します。すると撮影画面に移動しますので、ジャンプ動作を真横から撮影します。この時、カメラは地面すれすれに置く方がいいです。もう少し言うと撮影するのは足だけで構いません。

撮影が終わると分析の画面に自動的に移動します。まず撮影した動画から自分のつま先が地面から離れた瞬間の映像を探します。見つかったら画面右の“START”をタップします。次に跳び上がって地面に足がついた瞬間の映像を探します。見つかったら画面右の“STOP”をタップします。するとジャンプ高が自動的に算出され画面に表示されているはずです。

少し休憩をはさみながら3回ぐらい跳んで、最もいい記録だったものを現在の自分のジャンプ高としましょう。

ここで一つ注意があります。垂直跳びの高さは測定方法によって記録が異なります。従って、今回計測した記録を安易に他の人と比べるのは危険です。他の方が別の方法で測定した場合、記録が高く出ている可能性もあり、実際に同じ方法で計測すると記録があまり変わらないということもありえます。もし記録を比較する場合は、測定方法を同じにするなどする必要があります。

1−3.どこをどのようにトレーニングしたら良いか

自分のジャンプ高がわかったら次は「どのように向上させるか」が課題となります。ジャンプ力を向上させるために必要なことは「下半身の筋力を向上させる」ことと「下半身で発揮するパワーを向上させること」の2つです。なぜなら身体を上空に跳ばすために大きな役割を担っているのは「下半身」だからです。

下半身の「筋力」と「パワー」を向上させるトレーニングは様々なものがあります。「筋力」を向上させるためには、例えばスクワット、デッドリフト、ランジ系の種目などです。また「パワー」を向上させるためのトレーニングは短い時間でより大きな力を発揮するトレーニングのことで、例えば、その場でジャンプしたり、台から飛び降りてジャンプしたり(デプスジャンプ)、重りを持ってジャンプしたり、ウエイトリフティング(クリーンやスナッチ)ののようなトレーニングです。

最も重要なのはどの種目をどのように(セット数、レップ数など)を行うかです。つまりどのようにプログラムを組むかが重要になります。トレーニングの進め方についてはここでも言及しましたが、クライアントの方を目の前にせず「〇〇を◯回◯やればいいよ」ということは安易にお伝えできません。詳しいことは本記事での言及は避けたいと思います。ご興味がある方はご連絡ください

1−4.トレーニング初心者がやるべきこと(筋力vsパワー)

具体的なプログラムについての言及はできませんが、トレーニングをあまりしたことがない方(トレーニング初心者)にトレーニングをする際、考慮している「考え方」についてはお伝えできるかと思い、これまで明らかになっている知見を踏まえて少しお話ししたいと思います。

3項で述べましたが垂直跳びを向上させるために重要なことは、下半身の「筋力」と「パワー」の向上です。ただ、トレーニング初心者であれば筋力が向上するだけでパワーも向上することが明らかになっています(1)。また、筋力が高い選手と低い選手を比較した研究では、筋力が高い選手の方が筋力が低い選手よりもパワートレーニングによるパワー発揮の向上率が高かったということが明らかになっています(2)。これらの研究を踏まえると、トレーニング初心者の方はまず筋力を向上させることに重きを置き、筋力を向上させた上でパワートレーニングに取り組む方が効率がよいということになります。実際には同時並行で進めていくことが多いのですが、自分がトレーニングを処方する際はこのような研究結果を踏まえながらトレーニングプログラムを作成しています。

2.まとめ

本記事では、垂直跳びの測るためにオススメのアプリを紹介し、何をどのように鍛えたらいいのかを簡単に紹介しました。まずは試しに何cm跳ぶことができるか測ってみることをお勧めします。トレーニング方法については様々なことが研究で言われており、詳細については今回は割愛します。ちなみに筆者は昨年1年で最大8㎝垂直跳びを伸ばしました(testing時は6㎝でしたが、、、)。急に垂直跳びが伸びることは少ないですが、継続的にトレーニングすることでジャンプ力は伸ばすことができます。トレーニングについてご興味がある方は是非ご連絡いただければと思います。

<参考文献>
1. Prue Cormie, Michael R. Mcguigan, and Robert U. Newton, Influence of strength on magnitude and mechanisms of adaptation to power training, Medicine & Science in Sports & Exercise, 1566-1581, 2010

2. Prue Cormie, Michael R. Mcguigan, and Robert U. Newton, Adaptations in athletic performance after ballistic power versus strength training, Medicine & Science in Sports & Exercise, 1582-1598, 2010