#6 「なぜ腰痛になるのか?」~骨盤を中心に考える~

選手・一般の方向け

一般の方向けに肩こり、腰痛予防を目的とした健康教室を行っています。

僕が指導をする場合「ただエクササイズを行う」だけでなく、「なぜ?」を理解して行っていただきたいので、簡単にではありますが腰痛の原因などについて説明をします。

今回はそもそも「なぜ腰痛が起きるのか?」についてまとめます。

 

1.なぜ腰痛は起きるのか

一般的に慢性的な腰痛は

腰が反り気味になる:腰椎の前湾が大きくなる

腰が丸まる:腰椎の後湾がおおきくなる

の2つが原因となることが多いと言われています。以下、腰が反る原因と丸まる原因について考えてみます。

 

2.腰椎の前湾・後湾について

人間の背骨は図のようにS字を描いています(下図)。

なんらかの要因でこのS字が過度に強まる、もしくは過度に弱まることで腰痛が発生します。

S字が強まった状態(腰が反っている状態)=「腰椎の前湾が大きい状態」

S字が弱まった状態(腰が丸まっている状態)=「腰椎の後湾が大きい状態」

となります。また、「腰椎の前湾が大きくなる」と「骨盤の前傾」を伴います。「腰椎の後湾が大きくなる」と「骨盤の後傾」を伴います。

 

3.なぜ腰椎の前湾・後湾が起きるのか

では、なぜ腰椎の過度な前湾・後湾が起きるのでしょうか?その要因について骨盤とその周りについている筋群から考えてみたいと思います。

図は骨盤とその周りの筋群を模式的に表したものです。ここで各筋群が骨盤に対してどのような影響を及ぼすかを考えます。青で示した背筋群と腿前の筋肉(股関節屈曲筋群)は骨盤を前傾させます。赤で示した腿裏の筋肉(股関節伸展筋群)と腹筋群は骨盤を後傾させます。

骨盤が前傾=S字が強まる(過度な前湾)

骨盤が後傾=S字が弱まる(過度な後湾)

ので、骨盤に作用している筋群が何らかの要因で硬くなったり、弱くなったりすることで骨盤の前傾、もしくは後傾が大きくなり腰痛が起きるということです。

従って、腰痛の軽減にはこれらの筋群がどうなっているのかを評価しながらトレーニングやストレッチを行う必要があります。

僕が指導する場合、トレーニングを行いながら「この人はここの筋肉が硬い」や「この人はここの筋肉が弱いから腰痛がでているかもしれない」と評価しながらプログラムを進めています。また、あらかじめ鍛えておくべき筋群、柔軟性を向上させるべき筋群を明確にし、トレーニングを処方することで評価をしなくても適切にトレーニングをしていけば腰痛等は軽減されます。

 

4.まとめ

僕は医者でもなんでもないので診断はできませんし医学的な処置はできませんが、トレーニングによって腰痛の改善にアプローチすることは可能です。適切にトレーニングを行えば、筋力や柔軟性がつくので、腰痛が予防できるだけでなく身体も強くなるという一石二鳥、三鳥の効果を得ることができます。「いやいやスクワットやデッドリフトみたいなトレーニングをすると腰が痛くなるんだよ」ということもたまーに聞きますがそんなことはありません。

 

<参考文献>

運動機能障害症候群のマネジメント理学療法評価・MSIアプローチ・ADL指導(2005),Shirley A.Sahrmann, 医歯薬出版

NASM Essentials of Corrective Exercise Training(2013), Jones & Bartlett Pub

 

トップに戻る