筋力がなくても重たい重りを扱えるワケ【”仕事”を理解しよう】

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こんにちは、佐々木です。

トレーニングを指導していて、”仕事”をきちんと理解しておくことって大事だなと思ったのでまとめます。
ここでいう仕事は普段皆さんがやっている”仕事”ではなく力学的な”仕事”のことです。

仕事は「移動した距離 x 力」で表されます。

例えば1階から2階に荷物を運ぶ時、軽いものよりも重たいものの方が当然大変ですよね?

それは「仕事が大きくなるから」です。

1階から2階の距離は変わらず(=移動距離は同じ)、重いもの運ぶ方が力は大きくなるので、重たい物を2階に運ぶ方が仕事は大きくなります(ここではざっくり説明しているので細かいことは抜きです)

【仕事を理解していると・・・】
今日言いたいことは、距離が短くなれば重たい重りを扱えるのは仕事が一緒だから当然だ、ということです。

例えば、50kgの重りを1m移動させることができる人がいたとします。この時の仕事は50kg x 1m なので50です(単位は無視します)。この人は50という仕事をすることができるので、100kgの重りを0.5m移動させることができます。この時の仕事が100kg x 0.5m =50 で同じだからです。

つまり移動距離が短くなると重たい重りを扱うことができます。

これはトレーニングにも同じことが言えます。100kgを担いで1mしゃがめる人は、200kgで0.5mしゃがむことができます(あくまで理屈上の話です。実際はこんな単純な話ではないです)。

このように、「仕事」ということがわかるとスクワットでより深くしゃがめば重量が落ちて、浅くしゃがめば重たい重りを扱えるということは当然じゃん!と理解できます。

【スクワットの浅い vs 深い論争】
浅いスクワットと深いスクワットのどちらがトレーニング効果があるの?という研究はこれまで結構行われていて、様々な議論があります。ただ僕がここで言いたいのは、「仕事」を理解していないとそもそも、浅いスクワットと深いスクワットのどっちがいいの?という議論に行き着かないのではないか、ということです。

研究を抑えておくことは当然重要ですが、そもそも「仕事」の概念を分かった上で論文を読まないと「へぇー」で終わります。

トレーニングを理解するために「力学」が分かっていることは大切です。

話を戻して少し深掘りすると、トレーニングにおいて、移動距離が短くなって得られるメリットは「重量」で、移動距離が短くなることで失うものは「可動域」です。逆を言うと、移動距離が長くなって得られるものは「可動域」で失うものは「重量」です。

「重量」を重視するか「可動域」を重視するかで得られる効果は当然変わります。

「なぜそうなるのか」の理由を理解することはすごく大切です。トレーニングにおいてその説明をしてくれるのは多くの場合、「力学」です。物理ってとっつきにくいですが、ちょっと勉強してみると理解の幅が広がります。是非トライしてみてください。