【基本を解説】インターバルトレーニングとは?【実はかなり奥が深いです】
こんにちは。佐々木です。
この記事を書いている私はトレーニング指導歴8年。現在はパーソナルトレーナーとして活動している。大学・大学院ではスポーツ科学を学んできました。
これまで学んだことや経験からインターバルトレーニング(HIIT)について解説します。
もくじ
- インターバルトレーニング(HIIT)とは
- インターバルトレーニングのやり方の基礎
1.インターバルトレーニング(HIIT)とは
インターバルトレーニング(HIIT)とは持久力を高めるトレーニングで以下のように定義されています。
“乳酸性閾値(主観的にきついと感じ始める強度)や臨界的な速度、パワーを超えた高強度の運動と低強度や完全休息を繰り返しながら行うトレーニング(1)”
つまり、高強度の運動と低強度や完全休息を交互に繰り返すトレーニングのことです。例えば、部活などで20秒走って20秒ジョグを合計8本繰り返す、みたいなトレーニングです。
インターバルトレーニングのメリットは高強度の運動量を増やすことができることにあります。
例えば1500mを4分(100mを16秒ペース)で走れる選手がいたとします。この選手は1500mを3分50秒(100mを15秒ペース)では走れません。しかし、1500mを500mx3本に分け、休息をとりながらであれば3分50秒ペースで合計1500mの距離ををレースよりも速いペースで走ることができます。また、500mではなく例えば400mx4本のようにすれば1500m以上の距離をレースよりも速いスピードで走ることができます。このように、持続的には走ることができなくても、距離を短くして休息をいれながら走ると、レースよりも長い距離をより速いペースで走ることができます。このトレーニングに身体が適応すると、1500mをより速いタイムで走ることができるようになるかもしれません。
このように継続的に走ることができないスピードでも休息を挟みながら実施することで、より高い強度でより多くの量をトレーニングできるのがインターバルトレーニングの特徴です。
インターバルトレーニングのやり方の基礎
インターバルトレーニングは様々な変数が組み合わされてできています。主に考えなければならないこと解説します。
インターバルトレーニングを考える時は以下の要素を考える必要があります。
(1) 高強度運動時の運動強度(速度やパワー)
(2) 高強度運動の時間
(3) 低強度運動 or 休息の強度(速度やパワー)
(4) 低強度 or 休息の時間
(5) 本数
(6) セット数
(7) セット間の休息時間
(8) セット間の運動強度
(9) 運動様式(ランニングなのかバイクなのかなど)
具体的に解説します。例えば以下のようにトレーニングを決めたとします。
ランニングで100mを20秒のペースで、20秒の完全休息(速度0)をはさみながら8本、2セット行う。セット間のレストは完全休息で3分。
これを上の変数に当てはめると
(1) 高強度運動時の運動強度(速度やパワー):100m ÷20秒=5m/s(速度)
(2) 高強度運動の時間:20秒
(3) 低強度運動 or 休息の強度(速度やパワー):速度0m/s
(4) 低強度 or 休息の時間:20秒
(5) 本数:8本
(6) セット数:2
(7) セット間の休息時間:3分
(8) セット間の運動強度:0m/s
(9) 運動様式(ランニングなのかバイクなのかなど):ランニング
となります。
それぞれの要素を変化させることによって得られる効果は異なります。
・休息をジョグにするのか完全休息にするのか
・ジョグにするならどれくらいの速度で走ればいいのか
・何本やればいいのか
・何セットやればいいのかセット間の休息は何分がいいのか
など、インターバルトレーニングを考える際は多くの要素の組み合わせを考えなければなりません。組み合わせは無数にあり、行なっている競技でどのような持久力が求められるかによって計画することが重要です。
このように考えていくと、「体力つけたいから体育館2往復を30秒ダッシュ、30秒休んでそれを10本やろう!」のようなトレーニングは意味がないとまではいかないものの、もう少し深く考え計画されたトレーニングが必要になることが理解できるのではないでしょうか?
また、先日このようなツイートをしました。
部活とかで全員が同じ条件で走り込みの練習して速い人が遅い人を鼓舞するみたいな光景はよくあるけど、そもそもトップスピードも違えば体力も違うから同条件で持久系トレーニングするのは違うよね。やるときはきちんとテストをして、それぞれに合ったトレーニングが必要。
— 佐々木俊介 Sasaki Shunsuke (@syn_1009) January 27, 2020
選手によってトップスピードや持久力は異なるので、インターバルトレーニングの速度は全員が同じではなく個別に設定する必要があります。それを知るためには持久力を測るためのテストが必要です。
切り返しがない種目(陸上の中長距離など)と切り返しがある球技系種目では実施するテストは異なります。陸上の種目であれば、自身の記録会の結果から速度を逆算することもできるでしょう。また、血中乳酸濃度を計測すれば、運動強度の設定が可能です。
一方、切り返しがある球技系種目は切り返しを考慮した持久力テストが必要になります。バスケットボール選手に1500mのタイムを基準にトレーニングをしても、コートは28mしかなく、当然トレーニング中には切り返しがはいります。これまでの研究で、持久力テストには切り返し能力を考慮しなければならないことがわかっていて、球技系種目では1500mなどのテストを用いてインターバルトレーニングを設定するのは適切とはいえません。切り返しを考慮したテストとして有名なのが30−15IFT testです。現在はテストの音源をアプリで入手することもできます(無料です。神です)。また、アプリをダウンロードすると英語ですがテストプロトコル(やり方)も知ることができます(アプリのダウンロードサイトはこちら)。
また、こちらのサイトからテスト後にトレーニングを組み立てることができるエクセルシートや論文をダウンロードすることができます(すべて英語です)。
これらを活用することができれば、個々にあったインターバルトレーニングを組み立てることができます。これまでの研究様々な組み合わせによるトレーニング効果の検証が行われています。形式は様々なのであとは背景知識をいれつつトレーニングを進めるということになるでしょう。
より効果的なトレーニングを実施して、パフォーマンスを高められるよう取り組んでみてください。
<参考文献>
1. Paul Laursen, Martin Buchheit, Science and Application of High-Intensity Interval Training: Solutions to the Programming Puzzle, Human Kinetics ,2019