疲労を早く回復させるために重要なリカバリー
本記事では
- 練習の疲れが上手く抜けなくて困っている
- 最近なんか疲れていて練習に集中できない
などの悩みに答えます。
スポーツ選手は練習をしすぎると怪我につながることがあるため、練習量や負荷をうまく調整することが重要です。しかしその一方で、パフォーマンスを上げるためにはたくさん練習することも必要となります。負荷の高い練習をしたり練習量を増やしたりするためには疲労した身体をいち早く回復させることが重要です。今回は疲労から早く回復するために重要なリカバリーについて解説します。
1.疲労を早く回復させるために重要なこと
1−1.疲労とはなにか?
そもそも「疲れ(疲労)」とはなんでしょうか?疲労は身体的なものや精神的なものなど様々な要因が絡み合っているので、正確に定義することは難しいですが、文献によると疲労は以下のように定義されています。
”原因の如何を問わず、生態機能が低下し、その機能が可逆的に復帰できる状態を保っていながら、低下前の状態に復帰できていない生態機能の低下状態を「疲労状態」と呼ぶ。“(1)
詳しく解説します。人間はストレスに対して適応する能力を持っています。運動して身体が疲労したとしても、適切な休息をとればもとの状態に戻り、同じくらい(もしくはそれ以上の)負荷で運動をすることができます。例えば、スクワットを50kgで10回3セット行ったとすると、トレーニングした直後は同じ負荷でトレーニングはできませんが、1〜2日休息をとれば同じような設定でトレーニングすることができますよね。先ほどお伝えした定義では、病気などで治療が必要な場合、つまり自分が自然に回復できる能力を超えて薬などを使って処置が必要になっている状態を除き、ストレスによってそれまでできていたことができなくなった状態を「疲労状態」ととらえています。
先ほどの例でいうと、スクワットをした直後に同じ負荷でスクワットができなくなっている状態=疲労状態、ということです。
1−2.疲労を回復させるために重要な2つの要素
少し理屈っぽい説明が続きましたが、疲労を早く回復させることができると、練習をする前の疲労していない状態に早く戻ることができる=たくさん練習ができる、ということになります。つまり、練習の負荷を調整するということと同時に「いかに疲労を回復させるか」がとても重要になります。
では、何をすれば疲労した状態からより早く回復できるでしょうか?最も重要なことは「睡眠」と「栄養」です。なぜかというと睡眠によって人間は認知機能や身体的な組織の再生、また心理的な機能を確保させていると考えられているためです。つまり人は寝ることによって身体の肉体的、精神的な疲労を回復をしています。実際に睡眠不足によって身体のあらゆる能力が低下することが言われています。睡眠不足でスポーツのパフォーマンスが低下することも間違い無いです。また、人間は食べることでしか使ったエネルギーを回復することができません。従って、疲労を回復させるためには「睡眠」と「食事」が重要となります。
疲労を回復させるためには他にも「ストレッチ」や「コンプレッションウェア」「マッサージ」など様々な方法があります(効果がないといわれているものもありますが、、、)が、まずはしっかり睡眠と栄養がとれていることが重要です。
1−3.具体的なリカバリー方法
「睡眠と食事が重要」と言うものの、どのような方法で実践すればいいのかが最も重要かと思います。結局どれだけ知識を入れたとしても、自分の生活に取り入れられなければ結局なにも変化は起きません。従って、食事と睡眠を含め、どんなリカバリーの方法があって、どんなときになにをすればいいのかを知り実践する必要があります。
実際にリカバリーの戦略を考えることは容易ではありません。トレーニングや練習内容によってリカバリーの方法も異なります。強度の高い練習と強度の低い練習では必要になるエネルギーの量も異なります。また、筋量が多い選手は少ない選手に比べて食事の量は多く取らなければならいでしょう。トレーニングと同じくリカバリーについてもその人に合ったものを考えるということが必要になります。
とはいうものの、お風呂の入り方などを工夫することでリカバリーを早めることができますし、体重を管理しながらご自身で栄養の取り方も工夫することができます。そこで、具体的なリカバリーの方法についてNoteを作りました。こちらは有料です。文献をもとに基本的なリカバリーの仕方について解説しています。また、コンディションを管理する上で必要な体重管理の仕方について解説しています。特に食事を考えるうえで体重をモニタリングすることは重要です。体重管理の方法とともに具体的なリカバリー方法について知りたい方は是非ご一読いただければと思います。
2.まとめ
リカバリーは様々なことがいわれていますが、ご自身の生活に取り入れることが何より重要です。自分ができることを工夫し、より練習の質を高め、パフォーマンスを向上させられるよう取り組んでいただければと思います。
<参考文献>
1.下村輝一, 八田英雄, 運動と疲労の科学ー疲労を理解する新たな視点ー, 大修館書店, 2018
2.Christohe Hausswirth, Inigo Mujika, リカバリーの科学-スポーツパフォーマンス向上のための最新情報ー, Nap Limited, 2014