バイオメカニクスでわかること
こんにちは、佐々木です。
東京でS&Cコーチとしてパフォーマンス向上を目的としたトレーニング指導をしています。
今日は指導者の方向けに「バイオメカニクスでわかること」というテーマでお話しようと思います。
僕は大学、大学院でバイオメカニクスを勉強し、論文(実践研究ですが)も書いています。
・ハングスナッチトレーニングがバスケットボールのチェストパス動作に及ぼす効果に関するバイオメカニクス的研究
トレーニング科学,30(4):263-278 2019
Author:佐々木俊介, 結城匡啓, 吉田洋平
自己紹介はこの辺で、本題に入ります。
バイオメカニクスというのは力学的に運動を分析する分野で、勉強しても何だかよくわからない、市民権を得られない分野の一つです(切ない)。
力学的に分析をすると何がいいのかというと、なぜその動きがそうなるのかの理由がわかるんです。
垂直跳びを高く跳べる。サッカーの無回転シュートが打てる。ピッチャーが150km/hの球を投げる。
これらの動作は「力学」で説明ができます。指導の時に何気なく使っている「力」や「速度」「パワー」と言った言葉は全部物理の言葉です。
物理の言葉を使っているのであれば、物理の知識を使えば詳しい説明ができます。
垂直跳びは重心をいかに高く上げられるかが課題で、無回転シュートやピッチャーの動きは、ボールに力をどう加えるかが課題です。
言ってしまえば基本的に全ての運動は物理の法則によって成り立っています。
だからバイオメカニクスを知っているって結構大事です。
ただ、このバイオメカニクスは運動の説明はしてくれますが、”どうすればいいか”は教えてくれません。
例えば、ピッチャーが150km/hの球を投げるには、下半身でこのように力を出してそのエネルギーがこんな風に伝わって・・・だから150km/hの球を投げるためにはこんな動きが必要だ!ということがわかっても、これはあくまで”説明”です。
説明を指導の時にそのまま使ってしまうのは、走るのが苦手な人にもっと速く走れ!と言っているようなもので、言われた本人はもっと速く走るためにはどうしたらいいのか教えてくれよ、となります。
説明はそのままでは指導には使えません。
指導者は動きが「どうなっているか」を「どうすればいいか」をに変換する必要があります。
運動って結構特殊で、国語や算数と違って「感覚」で行われています。
僕らが何気なく水溜りを軽々飛び越えられるのは、ジャンプすればこの水溜りが超えられるという感覚が自分の中にあるからです。
僕たちはこれまでの運動経験からこれはできる、できないを無意識に判断しています。
ボールを投げる時に、肘はこの角度で、この時に脚をこうして、、、なんていちいち考えていません。これらは全て感覚です。
だからこそ、指導の時には感覚のやりとりをするためにあれやこれやと工夫をします。これは言葉だけじゃなく、やりたい動きの感覚を掴むための練習を考えたりするのも同じです。
トレーニングの話をすると、「パワー」や「力」はトレーニングした結果高まるもので、パワーや力は選手の能力を説明しているものにすぎません。
結果を適切に解釈し、それらを上げるためにどうトレーニングするかを考えることが大事です。
まとめると、バイオメカニクスを理解して運動がどうなっているかを理解した上で、じゃあどうすればいいのか、ということを考えなきゃいけないよね、というお話でした。
指導に必要な運動感覚について学びたい人は「運動学」という分野を勉強してみてください(独学するのは結構大変だと思いますが、、、)
個人的にはこの本もおすすめなので一つご紹介しておきます。
今、トレーニングに必要なバイオメカニクス、みたいなテーマでnoteを書いています。このまま書き続けると1万字弱くらいはいきそうな勢いです(いかなかったらごめんなさい)。
書籍ではバイメカの勉強がなかなか難しいところもあるなーと思っているので頑張って書いています。9月中には書き上げたいです(あくまで目標です!)。
書いたらまたお知らせしまーす。