#29 日々のコンディショニングチェック方法

指導者向け 選手・一般の方向け

先日クライアントから「日々の疲労を数値化できれば」という声をいただきました.その際いくつか知っている方法をお伝えしたのでブログにまとめたいと思います.

1.体重を測る

 日々の体重を測ることで自分のコンディションを把握することができます.体重や体脂肪量が増加していればトレーニング量が足りていないか,食事の取りすぎを意味し,体重が減少していればトレーニングに回った食事を取ることができていないことを意味します.体重は摂取量と消費量の差によって変化するものです.強度が高い練習が続くと体重が減っていくこともあるかもしれません.従ってトレーニングと食事のバランスが取れているかを見る一つの指標になります.

2.日々の日誌をつける

 疲労度や睡眠の質,どこか痛い部位があればその痛みの度合いなどを5段階や10段階の数値で評価し,練習メニューなどとともにメモしておくと,どの練習の時に疲労や痛みが強くなるかを把握することに繋がります.日々のメモを取っておくことで強度の高い練習の後はどれくらいの休息を取ったらよいか,どの練習の後に特に疲労が出やすいかなどを把握することに繋がります.

3.SPO2,脈拍を測る

 SPO2は動脈血酸素飽和度のことで,酸素がどれくらいヘモグロビンと結びついているかを示す数値です.もともと医療現場で測定され用いられている値ですが,スポーツ現場では特に高所トレーニングの際のコンディショニングチェックなどにも用いられています.高所トレーニングでなくても,日々のSPO2の変化を測定することでコンディショニングのチェックに役立ちます.SPO2を測定するためにはパルスオキシメーターという専用の機器が必要でピンきりですが5,000円~20,000円程度で買うことができます.疲労が強いときにはSPO2は低くなり,脈拍は高くなります.数値の解釈には若干の知識が必要ですが,活用できればコンディショニングを測る良いツールになります.

4.測定の際に気を付けること

 コンディショニングを測るツールを3つほど紹介しましたが何かを測定するときはなるべく同一条件で測定をするのが好ましいです.体重であれば朝起きた直後と昼食後では食事の内容などによって数値が異なってしまうため,ばらばらの時間に計測したものを積み重ねてもコンディショニングの把握にはつながりません.従ってできるだけ同じタイミング,同じ状況で計測を行い,それを積み重ねることが好ましいと言えます.

5.まとめ

 選手の中には,専門のスタッフやコーチがおらず自身でメニューを組みトレーニングを行わなければならない選手のいるはずです.自身のコンディションを「今日はなんとなく疲れているから少し軽めにしよう」「今日は調子がいいからもう1本走るか」などの主観的なものだけに頼りトレーニング内容を判断するのではなく,客観的に測った数値からトレーニング内容を考えられるとよりトレーニングを効果的に行えるのではないかと思います.

P.S 結局のところ中長期的なトレーニング計画から日々のコンディショニングをチェックしつつ毎日のトレーニングに調整を加えていくという作業をしなければならないから「コーチ」は絶対に必要だと思うんですよね...

<参考文献>
スポーツ栄養学:科学の基礎から「なぜ?」にこたえる,寺島進,東京大学出版会,2017
高地トレーニング時のコンディショニング評価,杉田正明,臨床スポーツ医学,28(8), p893-898, 2011